2020年 12月 例会

冬至まえ陽と楽しなる古希の人   英

ガラス窓鋭く光る冬日かな     信

気象庁歳時記削り冬寂し      漁市

昼炬燵みすずの詩も添い寝かな   駄犬

また一つ鳥に喰われし吊るし柿   翠風

思いっきり背伸びしてみる冬うらら さとか

遊戯室むかえ待つ吾子冬夕焼    玲

参道の黒き碑冬ざるる       文庫

寄るたびに叔母の打つ蕎麦野の香り 扇子

扇谷赫紅緋のもみじかな      寿々

渾身の彩り放ち散る黄葉      いつつばし

焼芋屋近づく笛やじゃんけんぽん  大丈夫

ばさばさと冬菜を洗う男の手    いずみ

地下街や枯葉入り込むエレベーター 十桝

 

2020年 11月 例会

渡る風かさこそかさと秋の声    林道

慣れぬ草履摺り足覚え七五三    漁市

風もなく山茶花散るやつぎつぎと  さとか

隠れ宿一輪挿しに秋ひとつ     駄犬

孫姫に親もかしずく七五三     翠風

ほめられし心浮き浮き冬隣り    英

ラヂオから「ひるのいこい」やとろろ飯 文庫

天空を彩るもみじ刻とめり     涼呂

冬隣にわか庭師の鋏あと      玲

山並みの融け入る秋の日暮れかな  信

ブランコに掛けて恋歌霜夜かな   いつつばし

枯れ残る形見の薄十三夜      十桝

どぶろくで縄文人となりにけり   大丈夫

音もなく晩秋の天伸びる直線    扇子

お寺カフェ無病息災秋詣      寿々

 

2020年 10月 例会

水替えて赤き実添えて朝の卓    涼呂

ジャズきこゆ野外ステージ秋茜   玲

むなしさを秘めて木犀香りける   扇子

運動会勝負をかけたジャンケンポイ 寿々

子を忘る施設の母や秋日暮れ    いつつばし

一斉に声そろえけり赤い羽根    大丈夫

二階まで上がり朝顔空目指す    翠風

蜩や磨きこまれし寺の階      いずみ

駅弁の蓮根故郷を運びけり     駄犬

コスモスや花小さきも大宇宙    漁市

秋空に襖絵のあお東山魁夷のあお  さとか

山降る風に刈田の匂いかな     信

物の怪の邑や遠野の後の月     文庫

神鹿や角を切られてすまし顔    十桝

ふるさとやコスモス光る一里塚   林道

短日の優しき夕日ありがたし    英

 

2020年 9月 例会

痛風や耐えて青首大根蒔く     法導    

いつの間にそばに寄りたる赤蜻蛉  さとか

古民家や朝陽にキラリ柿簾     駄犬

蜘蛛糸に雨粒光りネックレス    漁市

野にひとり何なすべきや秋時雨   英

晩鐘の響きに消えゆ蝉の経     いつつばし

共葬の墓地を包める稲穂かな    十桝

向日葵の風通りゆく迷路道     翠風

バス停に降りるや尾花光りけり   信

卓袱台で孫をまってる瓜の馬    文庫

駐車場陽が低くなり花芙蓉     寿々

ゆずりあい西日射す席路線バス   大丈夫

踊るよに左右にさけて蜘蛛の巣を  玲

娘等の鮎焼く香り宴かな      扇子

 

2020年 8月 例会

俄雨来るぞと燕低く飛び       いつつばし

向日葵や三角ベース外野守備     漁市

木道の緑陰揺らす油蝉        涼呂

猛暑日に昭和のかおりもんじゃ焼き  駄犬

百日紅マスクで墓参陽炎が      扇子

電線に音符かくごとつばめ座す    玲

コロナコロナコロナで秋になり    英

「急がなきゃ」入道雲の踊りだす   さとか

やわ肌や吹き出す汗の粒二つ     信

白桃の尻の丸さや夏盛り       文庫

象潟や梅雨は明けたか土手のねぶ   十桝

 

2020年 7月 例会

線路際微笑む雑草や梅雨盛り     駄犬

梅雨晴れ間心新たにボランティア   英

吟行と名づけた散歩蛇苺       さとか

雲の峰放牧の牛大地ける       涼呂

自動車の免許を返す梅雨曇り     信

七ツ森に風光る日やワイナリー    扇子

リモートの謠の稽古で夏来たる    翠風

紫陽花の路をのぼりて涅槃かな    大丈夫

白靴が蝶々のパントマイムする    文庫

さくらんぼ競いて種をとばした日   玲

野良猫の匍匐してくる梅雨晴れ間   十桝

風鈴の揺らぐ音色や午後の夢     いつつばし

サルビアに元気をもらいさあ歩こう  法導

花あやめ残るしづくに雲うつす    寿々

コウモリ持ち駆け来る祖母や走り梅雨 漁市

炎昼や髪切りすぎて無口なり     いずみ

 

 

2020年 6月 例会

クレモナの空に癒しのバイオリン    十桝

リモートで孫と乾杯五月晴れ      翠風

公園に子らの声なく初夏の風      駄犬

花人にトランペットのやわらかき    涼呂

終息日待って折り紙万華鏡       扇子

鶯の歌で始まるオペレッタ       文庫

補助輪を外し三日目夏光る       漁市

七変化いつものようにそっと咲き    法導

初夏ややっと出番のランドセル     さとか

薫風やマスクゆるめて深呼吸      玲

万緑の渓の深さや広瀬川        信

自粛して延期中止も夏近し       大丈夫

荒浜やソーラー畑に射す春陽      寿々

百枚の夏空描き棚田水         いつつばし

 

 

2020年 4月と5月の例会は休会です

 

 

2020年 3月 例会

「かえりびな」心癒すよ十年目      翠風

時は今浮足立つ弥生かな         英

春光や日時計の針たおやかに       漁市

佇めば香りほのかに梅の園        信

新型もいづれは中古春嵐         十桝

春めきてリクルートスーツ活歩する    玲

猫柳触れたいような川の縁        扇子

雪下ろし煙草一服青き空         いつつばし

浅春や雑木林に紅ほのか         いずみ

「おやすみ」と天窓に月冴返る      さとか

風つかみ風船あまた春の海        涼呂

水ぬるむ人肌をやる「島美人」      大丈夫

 

2020年 2月 例会

花びらを撒きつつ降りてひと滴      扇子

パリッと割れそうな凍てつく満月     さとか

梅の香や秘境の駅に途中下車       駄犬

浅き春ふるさと戻れぬ九年目       英

寒星へ届けとばかり熱き歌        涼呂

春近し晩学の和紙買った午後       翠風

歳を経て湯豆腐こそとなりにけり     大丈夫

冬将軍出陣のとき計りかね        玲

片栗の花よあの娘は息災か        文庫

雪止みて無音の支配朽ちる村       いつつばし

薔薇の棘逞しくなる雪解かな       信

十四の春渡り廊下でチョコ出され     漁市

薬師堂人影なくて鳩の群れ        寿々

春光を賜い草取る葱の畑         十桝

  

2020年 1月 例会

吐く息の白より白き朝の月       いつつばし

初詣いつもの道を肩ならべ       道導

色の無き父母の写真や梅一輪      わるつ

今年こそと文字弾ませる賀状あり    涼呂

門松の前で行き会う孫の笑み      寿々

初明り点々々と沓の跡         文庫

ふる里の瀬音やはらか三が日      いずみ

山ほども言いたきことのあり咳ひとつ  大丈夫

幼子にねずみ賀状で笑み浮かべ     翠風

東雲の時分から待つ初日の出      玲

故郷を運ぶ絵手紙ならせ餅       駄犬

新春にひいき力士の伊達姿       扇子

孫抱え柏手窮す初詣          漁市

冬晴や富士山したに夢飛行       英

出初め式一斉放水空洗う        さとか

大根は諸肌を脱ぎ畝にあり       信

ウイグルや冬の砂漠に消ゆる人     十桝